小山台の家/五年後、十数年後
house in koyamadai
東京都 / 3階建( RC+木造 ) / 敷地面積:55u / 建築面積:29u / 延べ床面積:64u
構成: 住宅
2004
「小さくて大きな家」
かれこれ15年以上前に完成したお家です。
家って、暮らしが始まって時間が経てば経つほど素敵になるんだなぁ、という
文字に書けば当たり前すぎる事を、この家を通して教えていただきました。
この家は、土地が55u(16坪)、建築面積は29u(9坪)ととても小さいのですが、
道路側に突き出したような小さなインナーテラスを設け、その前に大きな紅葉の木を植えました。
密集地なのですが、開口部を絞り、囲まれたテラスを家と街の間に作る事で、
カメラのレンズが風景を取り込むように、
まるで森の中に暮らしているかのような体験を、家の中に引き込んできました。
2匹のネコは、最初から家中を飛び回っていました。
◇
さて、いつからか2匹のネコに加えて犬も同居し始め、
完成して十年以上経ったある日の事。
「あのー、手狭になってきたので、このテラスを内側にしたいんですけど〜。」とのご連絡。
そんな訳で、時を経て小さなリノベーションにより、テラスは小さな内側になりました。
それでもやっぱりこの開口部は、街の様子を木漏れ日とともに家の中に連れてきてくれます。
10年間のテラスだったという記憶も含めて、さらに家が生まれ変わったみたいでした。
その時々の要望で、家は、少しずつ変わっていっても大丈夫。
また10年後、どう変わっていくのか楽しみです。
またテラスに戻ったりして、、、、。
左は、屋上。右は、外観。玄関は、2階に上がったところにあります。
左。この時点で5年目くらいかなぁ。紅葉も大きくなっています。
右:玄関。小さな家なので、玄関も最小限。でも、奥の扉から、屋上へ登ることができたり、圧迫感はありません。
2階のリビングの様子。グリーンは、ベンジャミンムーアの「テキーラライム」という色です。
実は、入居後も、小さなリノベーションを繰り返しています。
左:キッチンより見る。上の床は、ところどころ透明になっていて、猫のお腹が見えますね。
同時に、光も下に届けてくれます。
キッチンカウンターですが、中央が丸くなっています。実は、入居後、しばらくしてから、
「キッチンカウンターを広いのに交換したいんですが、広すぎると料理を渡しにくいですよねぇ、、、。」
というご要望により、中央が、浅くなるような形状になりました。なるほどですね。
キッチンは、天井が率いのですが、上の床が60センチおきに透明なので、圧迫感がありません。
むしろ明るく、楽しいキッチンです。
猫を見上げる。
左:階段から、見上げたところ。
右:本棚と本棚の間に、コンセントやスイッチをつけているのですが、さらに配線を隠すように、
丸い穴を開けたベニヤをマグネットで取り付けました。今では動物たちが顔を出しています。
1階は、水回りと寝室だけです。とても小さいので、階段下にバスタブを置いています。裏は、よくある50センチほどの隙間なのですが、
塀で囲んで小さな坪庭を作り、思いっきり開放的にしています。
1階の水回りです。
屋上に登る階段と、屋上。たくさんの植物が育っています。
いやぁ、、、、なんともいい家です(笑)。
◇
10年以上経って、周りの木々も、とても大きくなりました。
だんだん家が隠れていきます。
インナーテラスが、小さな畳の小上がりになりました。仕上げには朱色の和紙を張っています。
これはこれでとてもいい感じです。今の暮らしにあっていますね!
小さな2畳くらいの和室ですが、ちゃんと障子で仕切ることができます。
家って、成長するんだなぁ。
構造:名和研二/なわけんジム 施工:新築/小松建設 リノベーション/パックシステム
協力 アトリエベガ(特殊金物)/
photo: 五年後/傍島利浩
十数年後/西久保毅人