おばあちゃんの椅子。
隣接する敷地には、おばあちゃんが住んでいて、ずーっと前から
ここでバイオリン教室を営んでいらっしゃいました。
そこには、おばあちゃんが大好きな場所があって、
そこに置かれた椅子からは、おばあちゃんの大好きな庭がよく見えます。
家の要望もたくさん聞いたけれども、なぜかニコニコと話すその時の
おばあちゃんの顔が忘れられなくて、おばあちゃんの椅子の場所から
設計をはじめる事にしました。
だから、とてもいびつな屋根の形にたどり着きましたが、
それは、おばあちゃんの庭と新しい家が、新たな関係を築くための
必要なすがた かたち。
いびつなかたちは、思いがけない場所や関係を生んで、
今度はおばあちゃんと、2人の孫娘との新しい物語を築くでしょう。
住み次いでいく、というのは、とてもエネルギーのいる事。
残すよりも、壊して、捨てる事が楽な時代です。
そんな時代において、古い家を、大事に大事に住んでいらっしゃる
おばあちゃんの笑顔に、とても感動して。
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