世田谷区の松蔭神社通り商店街の角地に計画した店舗併用住宅です。
建主の各務さんは退職後の将来、自宅1階で街との繋がりを楽しめる飲食店を開きたい、
と気に入った商店街を探しこの土地を購入されたのが物語のはじまりです。
とはいえ敷地はわずか50u。そこで1階を家族の食卓を兼用した「未来食堂」という設定とし、
2、3階にコンパクトなキッチンを持つ木造3階建てrの建築を計画しました。
1階は角地の見通し確保のために1階のボリュームを斜めに切り欠いて、
地域に差し出したような軒下空間を街のえんがわ的な存在としました。
もちろん内部からも腰掛けられるようできるようにしています。
建てたからには建主の人生に寄り添う建築でありたいといつも願います。
未来食堂は「今」ではなく「未来」に食堂になる予定です。
そしてさらに数十年後の体が衰えた老後は??
どんな未来が訪れても自宅の1階に降りるだけで地域とつながり、
のんびりと街の息吹を肌で感じながら暮らせる事を想像したら、
それだけでもこの場所に居を構えた恩恵は十分かもしれませんね。
コロナ禍を経て超高齢化社会が訪れる近未来の東京。
その時代に向けての新しい家づくりで大切なのは
「今」を少し棚上げして「未来」を妄想しながら作る事です。
「今」は誰にとっても超具体的でバラバラで、しかも忙しい。
でも「未来」の姿はみんな案外似ているかも知れないし、未来は不確定だからこそ共有可能でもあります。
建主の未来への助走を手助けしつつ、いつも並走してくれるような建築。
これからが楽しみです!
敷地面積:50.8u 建築面積:33.0u 延べ床面積:93.6u
構造:森永信行/MONO 施工:小川建設 /協力:平鍛冶 小原歩(特注スチールワーク)、ハタノワタル(和紙製作)、高橋園(植栽)
アリサト工房(のれん)、hyakka(籠目編みの籐建具)
photo:傍島利浩 小さなスナップ西久保毅人