「水陸両用の家」
木場エリアは海抜がほぼ0m、古地図を見ると、敷地はかつて水路であったらしい。
3.6m×18mの敷地は、住宅を計画するにはあまりに間口が広く、
あまりに奥行きが浅く無防備であった。
まるで巨人がマッキーでキュッと線を引いたかのような土地。
そこで、1階は土木のようなRC造とし、少しでも地面を残すために歪な足で立たせた。
2、3階は少しでも対峙する視線を受け流すことを検討した結果、
魚のエラを持ったような平面となった。
立面は山型とすることで壁量の軽減を図り、
断面は長手方向に回遊性を持つ形状としている。
こんな風に家族が特異な環境で快適に生活するために考えた小さな一つ一つの仕草が、
結果的にユニークな「すがたかたち」を作り出した。
マングローブの植物のように、
洪水になってもへっちゃらだ。
もちろん。
家の横幅が狭すぎるため、立体的に家の中をくるくると移動できるように考えています。
小さな家で起こりがちな吹き溜まりや突き当たりを断面的になくし、
空気はいつも循環し、
子供たちも、くるくると家の中を巡ります。
玄関から図書室を見たところです。
2階のテラスまで視線が抜けます。ここは、よじ登ったり、スロープがあったり。
ほーんと、細いのです、、、。
2階の畳の居場所からは、玄関も見えるし、
食堂も見えます。
2階の食堂を見たところ。奥に見えるのが、畳の居場所とテラスです。
ほーんと細いんですが、、、、、、。
逆に、明るさや、抜けが際立つ空間です。
寸法も、やりくり、やりくり、してると、クネクネしてきます。(笑)
実は、このまま階段を登ると、屋上の物干しスペースまで行けるんですが、
写真はありません、、、、。今度撮ってきます。
足元に、だんだん植物が生えてきました。
この細さ、小ささでも、小さな工夫をすれば、地面は残せるし、草木も生える。
どこまでも、街の続きのように。
構造:廣石秀造、MONO森永信行 施工:大和工務店
協力 阪本製作所 /平鍛冶(特殊金物)/高橋園(植栽)/
photo:西久保毅人